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Webブラウザの“最新版”を利用する

株式会社サブスレッドのみずしま a.k.a mzsm(@mzsm_j)です。こんにちは。

皆様は普段Webブラウザは何をお使いでしょうか。

日常的なWebブラウジングに関しては個々人の好みのものを使えばいいかと思いますが、Webサイト/アプリの制作に携わっている場合、さまざまな環境で動作することを確認するために複数のブラウザをインストールすることになります。

Web画面の見た目を決定づけるレンダリングエンジン、およびJavaScriptを実行するJavaScriptエンジンの違いを基準に分類すると、現在普及しているWebブラウザは大きく3つから5つの派閥に分かれます。
(ここでは、元々あったレンダリングエンジンと、そこからフォークして作られた関係のものを「○○系」として一括りにしています)

系統 レンダリングエンジン JavaScriptエンジン ブラウザ
Trident系 Trident Chakra(JScript9)(9~)/JScript(~8) Internet Explorer
IEコンポーネントブラウザ(Sleipnir(~5)など)
EdgeHTML Chakra Microsoft Edge
Gecko系 Gecko SpiderMonkey Firefox
WebKit系 WebKit Nitro Safari
Sleipnir (Mac版)
Blink V8 Chrome
Opera (15~)
Sleipnir (Windows版, 4~)

古いブラウザでの動作確認に関しては過去バージョンの動作環境を保存しておけばよいでしょう。
では、逆に今後出てくる新しいバージョンのブラウザでも動作に影響がないかを確認するにはどうすればよいでしょうか?

多くのWebブラウザは、より新しい実装を盛り込んだ開発版ビルドを安定版とは別に配布しているので、こちらをインストールするのが最も簡単な方法です。

開発版ビルドを入れて動作確認をしておくことで、安定版がリリースされてから「表示が崩れた!」「動かなくなった!」などと慌てて対処しなくてよくなり、
事前に不具合を修正しておいたり、あるいはそれが明らかにWebブラウザ側の不具合であればブラウザベンダーにバグ報告して安定版にバグが残ることを防いだり、といったことができます。

また、いわゆるHTML5に含まれる新しいJavaScript APIは、Webブラウザでの実装と並行して仕様が策定されていくため、途中で仕様がガラッと変わるということがよくあります。
安定版でも仕様策定中の(ベンダープレフィックス付きの)JavaScript APIは実装されますが、新しい実装をいち早く試すことができるのも開発版ビルドの魅力です。

今回は、そんな各Webブラウザの開発版ビルドについてまとめてみます。

Chrome Canary

Canaryは、Chromeのナイトリービルドです。
Canaryは鳥のカナリアのことで、炭鉱で毒ガスなどの異常をいちはやく検知するため(※場合によっては死ぬ)にカナリアが使われたことになぞらえてこの名前がつけられています。

Chromeのリリースチャネル一覧

チャネル 説明 安定性 バージョン番号
Stable channel 安定版 ↑安定的 基準
Beta channel リリース前のバージョン 安定版+1
Dev channel 開発者向けバージョン 安定版+2
Canary build いわゆるナイトリービルド。毎日更新 ↓先進的(不安定) 安定版+2

ChromeにはDev channelというそのものズバリな開発者向けバージョンも存在しますが、それよりもCanaryのほうがよりオススメです。
その理由は、安定版と共存してインストールでき、同時に利用できること。
Stable, Beta, Devの3つは、共存させられなくはないけど面倒臭いうえに、アイコンも同じなので今利用しているのが安定版なのか開発版なのか区別しにくいという点があります。 Canaryは通常のChromeとは別の場所にインストールされ、アイコン色も通常とは違うカナリアイエローであるため、通常のChromeとは完全に区別されていることがわかります。

Chrome Canaryはこちらのダウンロードページからダウンロードできます。

ちなみに、Linuxで使われる青色アイコンのChromiumというブラウザもありますが、これはまた別物です。
ChromiumはChromeのベースとなるオープンソースのブラウザで、レンダリングエンジンやJavaScriptエンジンなど基本性能は同じですが、Chromeに存在する一部の機能は実装されていません。
オープンソースのChromiumに対してGoogleが独自に機能を追加したものがGoogle Chromeという関係になります。
AndroidにおけるSDK PlatformにあたるものがChromium、それにGoogle APIsを加えたものがChrome、とイメージするとわかりやすい人もいるかも知れません。

Firefox Developer Edition

Developer Editionはその名の通り、Firefoxの開発者向けバージョンです。
以前はAurora channelと呼ばれていましたが、名前が変わってパワーアップしました。

Firefoxのリリースチャネル一覧

チャネル 説明 安定性 バージョン番号
Stable 安定版 ↑安定的 基準
Beta リリース前のバージョン 安定版+1
Developer Edition 開発者向けバージョン 安定版+2
Nightly ナイトリービルド ↓先進的(不安定) 安定版+3

Chrome Canaryは毎日更新されるナイトリービルドという位置付けでしたが、FirefoxのナイトリービルドはNightlyチャネルとして別に提供されています。
Firefox Developer Editionは単なる最新ビルドを提供するだけのものではなく、開発者用の検証ツールを標準搭載した特別版となっています。

WebブラウザのUIも、Beta, Nightlyチャネルについては安定版とほぼ同じですが、Developer Editionだけは黒と青を基調とした厨二っぽい先進的な見た目です。

Firefox Developer Editionはこちらのダウンロードページからダウンロードできます。

Safari Technology Preview

Safariの開発版というのは今まで無かったようなのですが、最近になってTechnology Previewというものが登場しました。

Safari Technology Previewは、Appleの開発者向けサイトからダウンロードできます。
自分のマシンにはインストールしていないので、内容についてはよく知りません…。(El Capitanでないとインストールできないみたいだし…)

Internet Explorer

もう開発は終了しているのでこれ以上新しいバージョンなど出ない。

Edge Insider Preview

さて、Edgeの場合は他のブラウザと違って少し面倒です。
Windows 10 Insider Programに参加し、Windows 10のプレビュー版をインストールすることで、Edgeの開発版を試せるようになります。

Windows 10 Insider Programではリリースチャネルに相当する概念として“リング”とよぶ

Windows 10 Insider Previewの“リング”一覧

リング 説明 安定性
Release Preview リリースプレビュー ↑安定的
Slow Insider Program参加者向け(安定性重視)
Microsoft MS社内向け(非公開)
Fast Insider Program参加者向け(新機能重視)
Selfhost Windows開発チーム用(非公開)
Canary デイリービルド(非公開) ↓先進的(不安定)

(窓の杜の記事を参考に作図)

このうち、Canary, Selfhost, Microsoftの3つはMS関係者向けの非公開のもので、一般の参加者が選択できるのはFast, Slow, Release Previewの3つになります。
筆者はFastリングに参加していますが、不具合といえばよく落ちるビルドがたまーーに配信されたりする程度で、そんなときはひとつ前に配信されたビルドに戻すことでなんとか乗り切っています。
SlowリングやRelease Previewリングならばそんな不具合モリモリのビルドは配信されないので、とにかく最新版を使いたいというわけでないならばそれらのリングを選んだほうが良いでしょう。

Windows Insider Programにはこちらのページから参加できます。

以上、各Webブラウザの開発版について紹介しました。

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